工場や倉庫の屋根や外壁の塗装　無機塗料とは？

屋根や外壁の塗装を検討するにあたって、無機塗料を考える方も多いのではないでしょうか。

値段が高くても非常に耐候性が高く20年以上持つので、
塗り替えに採用するとメンテナンス費用が大幅に削減できるというメリットがあるとされています。

そのため、無機塗料は耐候性の高さから、近年注目されています。

しかしながら、いざ工場や倉庫の屋根や外壁の塗装に、無機塗料を採用するとなると
ご不安な方もいるのではないでしょうか。

今までの塗料の多くは有機塗料と呼ばれるものです。
ですので、無機塗料とは何なのかあまり知られていません。

「無機塗料は、他の塗料とどのように異なるのか？
メンテナンス費用を抑えることができるのか？」

このようにお悩みの方に、塗料選びに参考になるように、
今回は無機塗料の特徴・メリット・デメリットなどについてご紹介いたします。

有機塗料とは？

まず、無機塗料をご紹介する前に、有機塗料についてご紹介いたします。

有機塗料とは、合成樹脂を含んだ化合物で作られた塗料のことです。
人工的に作られているものは有機化合物と呼ばれています。
有機塗料には、合成樹脂であるアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などがあります。

有機塗料は、無機塗料に比べ種類が多いです。
施工ごとにその用途、価格帯が幅広く

その利用範囲の広さと多機能性で、さまざまな塗装に多く使われています。

では、最近注目されている「無機塗料」とはどんなものでしょうか？

無機塗料のメリットとは？

無機塗料とは、無機質の原料を使用して作られる塗料のことです。
主な原料として、「鉱物」が主成分です。ケイ素やアルミニウム、酸化チタン、炭酸カルシウムなどがあります。

1.耐久性が高い

無機質の原料を使用するため、耐候性や耐薬品性、耐摩耗性などが高く、長期間の使用にも耐えることができます。

2.防火性が高い

無機塗料は、不燃性が高く、火災時の被害を抑えることができます。

3.環境に優しい

無機塗料は、VOCと呼ばれる揮発性有機化合物を含まないため、環境への負荷が少ないことが特徴です。

4.色あせしにくい

無機塗料は、紫外線に強く、色あせしにくいため、長期間の使用にも耐えることができます。

5.菌やカビに強い

無機塗料は、菌やカビの発生を抑制する効果があり、衛生的な環境を保つことができます。

無機塗料のデメリットとは？

1.調色が難しい

無機質の原料を使用するため、色のバリエーションが少なく、調色が難しいことがあります。

2.施工性が低い

無機塗料は、塗料の粘度が高く、筆やローラーでの塗布が難しく、
均一な塗膜を形成するのが難しいことがあります。

3.塗料の価格が高い

無機塗料の原料の価格が高く、製品の価格も高めになります。

4.ひび割れがしやすい

無機物が主成分のため、塗装後は非常に硬い塗膜となり、外壁にヒビが入ってしまうと
一緒に塗膜もひび割れてしまう可能性が高いです。

このように、無機塗料は、耐久性や防火性、環境への負荷が少ないなどのメリットがありますが、
調色や施工性、高い価格というデメリットがあります。

では、工場や倉庫の屋根・外壁塗装に使われる無機塗料にはどのような種類があるのでしょうか

無機塗料の種類

無機塗料には水性・弱溶剤2液型・水性2液型などさまざまな種類があります。
入っている無機質の成分によって特徴も異なります。

無機塗料を一部ご紹介いたします。

メーカー名	塗料名	分類
日本ペイント	アプラウドシュラスターNEO	水性・2液型
関西ペイント	ムキフッソ	弱溶剤・2液型
エスケー化研	セラミタイトペイント	水性・1液型
アステックペイント	スーパーシャネツサーモF	強溶剤・2液型

他にも、無機塗料は、現在様々なメーカーから様々な商品が販売されています。

無機塗料は特殊で高価な塗料なので、採用実績が豊富な信頼できる商品を使用することが重要です。

無機塗料といっても、全く有機物が含まれていないわけではありません。
無機物だけで塗料を作ろうとしても硬すぎて塗布できないため、少なからず有機物が含まれているのです。

メーカーや製品によって、無機塗料における有機物の配合率は異なります。

注意しなければならないのは、無機物の配合率が少なくても無機塗料と呼ばれる点です。
無機塗料は耐用年数が長い点が特徴ですが、無機物の配合が少なければ耐用年数も短くなりますので、
塗料を選ぶ際には配合されている成分も要チェックしましょう。

無機塗料の耐用年数

有機塗料と無機塗料の耐用年数を比較してみましょう。

アクリル塗料の耐用年数が約5～8年と一番短く、
ウレタン、シリコン、フッ素系と耐用年数が長くなっていきますが、
最も長い耐用年数となっているのが無機塗料です。

無機塗料での塗装が適しているのは？

改めて、無機塗料と有機塗料をメリット・デメリットを比較してみましょう。

このように、メリット・デメリットを踏まえた上で無機塗料での塗装に適しているのは
どのような工場や倉庫でしょうか。

無機塗料は、耐久性、耐候性、耐薬品性などが高く、
長期間にわたって色褪せや剥がれが起こりにくいため、
工場や倉庫のような大型施設の屋根や外壁に使用されることが多いです。
また、無機塗料は燃えにくく、防火性能が高いため、防火規格を満たす建物にも使用されます。

ただし、有機塗料に比べてコストが高く、無機塗料が適さない屋根や外壁の素材もあります。

このように無機塗料での塗装施工には専門知識が必要です。
施工実績のある信頼できる施工専門業者を選びましょう。