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今回は「2024年注目 最新！次世代の太陽光電池「ペロブスカイト型太陽電池」とは？」を詳しく解説いたします。
2050年カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーの拡大は必須です。
しかし、国土の狭い日本は、太陽光発電の設置場所の確保が課題となっています。
そこで期待を集めているのが「ペロブスカイト太陽電池」です。
2024年注目のペロブスカイト太陽電池について詳しく解説いたします。ぜひ参考にしてください。
ペロブスカイト太陽電池とは？
太陽電池といえばシリコン系を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし近年、従来の常識を覆す可能性を秘めた「ペロブスカイト太陽電池」という技術が注目を集めています。
従来のシリコン系太陽電池は高性能ですが、重くて設置場所が限られるという難点がありました。
一方、ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く柔軟という特徴を持ち、設置場所の制約を大きく緩和できる可能性を秘めています。
つまり、“薄くて軽い、新素材の太陽電池”なのです。
ペロブスカイトとは、特定の結晶構造を持つ物質の総称です。
ペロブスカイト太陽電池はこの構造を持つ有機金属ハロゲン化物を用いた太陽電池で、近年その変換効率が飛躍的に向上しています。
現在、世界中で研究開発が進んでおり、近年では変換効率もシリコン系に迫る勢いで向上しています。
ペロブスカイト太陽電池は、建物の壁や屋根はもちろん、IoT機器や車、飛行機など、様々な分野での活用が期待されています。
日本は技術開発で世界をリードしており、今後の発展が期待されます。
従来の太陽光発電の課題を克服し、日本が強みを持つ素材・技術で世界に貢献できる、
まさに日本発のグリーンイノベーションなのです。
他の太陽電池との違い
太陽電池は、光エネルギーを電気に変換する装置で、光が物質に当たると電子が飛び出す現象（光電効果）を利用して発電しています。
現在主流のシリコン系太陽電池に対し、ペロブスカイト太陽電池は「ペロブスカイト」という材料を使うことで、新たな可能性を広げています。
シリコン太陽電池は、発電効率の高さやある程度の耐久性を持つ一方、重くて硬く、製造コストが高いというデメリットを抱えています。
これは、プラスとマイナスの性質を持つ2種類のシリコンを貼り合わせて作る構造上、割れやすいシリコンをガラスなどで保護する必要があるためです。
一方、ペロブスカイト太陽電池は、微細な結晶が集まった膜でできているため薄くて軽く、柔軟性にも優れています。
製造コストが低いことも大きなメリットです。
ペロブスカイト太陽電池は、軽く柔軟な点を活かして、曲げられる太陽電池や、窓や壁に貼り付ける太陽電池など、従来の太陽電池では不可能だった用途への応用が期待されています。
このようにペロブスカイト太陽電池は、シリコン太陽電池とは異なる特徴を持つ、次世代の太陽電池として期待されています。
ペロブスカイト太陽光電池のメリット
ペロブスカイト太陽電池のメリットは、以下の５つです。
高い変換効率
ペロブスカイト太陽電池の変換効率は、近年著しい進化を遂げています。
現在では、すでに広く普及しているシリコン太陽電池に匹敵する変換効率を達成しており、一部の研究ではシリコン太陽電池を上回る変換効率も報告されています。
これは、ペロブスカイト太陽電池の研究開発が世界中で精力的に進められていること、そして、ペロブスカイト材料自体が持つポテンシャルの高さを示すものです。
将来的には、更なる材料開発や製造技術の進歩により、シリコン太陽電池を凌駕する高効率なペロブスカイト太陽電池が誕生する可能性も十分に考えられます。
そうなれば、太陽光発電の普及を大きく加速させ、エネルギー問題の解決に大きく貢献できるでしょう。
低コスト
ペロブスカイト太陽電池は、その材料の豊富さと製造工程のシンプルさから、低コストでの生産が期待されています。
従来のシリコン太陽電池は、高純度のシリコンを高温で加工する必要があり、製造に多くのエネルギーとコストがかかっていました。
一方、ペロブスカイト太陽電池は、比較的安価な材料を用い、低温で溶液を塗布するだけで製造できるため、製造コストを大幅に抑えることができます。
これは、ペロブスカイト太陽電池が、太陽光発電の普及を妨げてきたコストの壁を打ち破る可能性を秘めていることを意味します。
低コスト化が実現すれば、太陽光発電はより身近なものとなり、世界中のより多くの人々がその恩恵を受けることができるようになるでしょう。
さらに、ペロブスカイト太陽電池は、印刷技術を用いたロールツーロール方式による大量生産も期待されています。
これは、新聞を印刷するように、次々と太陽電池を製造できる技術です。
この技術が確立されれば、さらに低コストでの大量生産が可能となり、太陽光発電の普及を飛躍的に加速させることが期待されます。
軽量・柔軟性
ペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽電池の常識を覆す「柔軟性」という魅力的な特徴を持っています。
軽量かつ薄いフィルム状に加工できるため、まるでポスターのように曲げたり、丸めたりすることが可能です。
この特性により、これまで太陽光発電の設置が難しかった場所にも、太陽電池を設置できる道が開かれました。
例えば、建物の壁面や曲面ガラスの屋根、自動車のボディなど、これまで太陽光発電とは無縁だった場所にも、ペロブスカイト太陽電池なら設置することができます。
さらに、衣服やテント、モバイル機器など、私たちの身の回りのあらゆるものを太陽光発電装置に変えてしまう可能性も秘めています。
このように、ペロブスカイト太陽電池は、太陽光発電の可能性を大きく広げ、私たちの生活をより豊かに、より持続可能なものへと変えていく力を持っていると言えるでしょう。
原料の安定供給
ペロブスカイト太陽電池の主原料であるヨウ素は、日本が世界に誇る資源の一つです。
なんと、その生産量は世界第2位なんです！
日本は、チリに次ぐヨウ素資源の宝庫であり、国内で安定した供給が見込めるという大きな強みがあります。
これは、ペロブスカイト太陽電池の製造において、海外からの輸入に頼ることなく、安定した供給体制を構築できることを意味します。
資源の安定供給は、エネルギーセキュリティの観点からも非常に重要です。
ペロブスカイト太陽電池は、日本がエネルギー分野においても、世界をリードしていくための切り札となる可能性を秘めていると言えるでしょう。
透明性・色調の制御
ペロブスカイト太陽電池は、その優れた特性によって、太陽光発電の可能性を大きく広げようとしています。
従来の太陽電池は黒いパネルというイメージが強く、景観を損なうという声も少なくありませんでした。
しかし、ペロブスカイト太陽電池は透明化も可能となっており、建物の窓や壁面に設置しても、景観を損なうことなく、太陽光発電を行うことができます。
オフィスビルやマンションの窓ガラスに設置すれば、建物の外観を損なうことなく、太陽光エネルギーを電力に変えられます。
さらに、ペロブスカイト太陽電池は色調の制御も可能になりつつあります。
これは、建物のデザインや周囲の環境に合わせて、太陽電池の色を変えることができるということです。
例えば、伝統的な建築物に設置する場合には、瓦の色に合わせたペロブスカイト太陽電池を使うことで、景観との調和を図ることができます。
このように、ペロブスカイト太陽電池は、高効率な発電と景観への配慮を両立できる、まさに次世代の太陽光発電と言えるでしょう。
政府の支援を加速！今後の展望
次世代太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」。
薄くて軽く、どこにでも設置できるという利点があり、日本が強みを持つ材料・技術で開発が進んでいます。
政府もその将来性を重視し、2030年の社会実装を目指し、開発から社会実装まで切れ目なく支援する「グリーンイノベーション基金」を活用し、企業と連携して開発を加速させています。
具体的には…？
積水化学工業株式会社： ビルなどにも設置可能なフィルム型太陽電池の製造に成功し、実証実験も開始しています。
世界初 フィルム型ペロブスカイト太陽電池による高層ビルでのメガソーラー発電の計画について｜積水化学工業
株式会社東芝： 高効率で高速に製造できる技術を開発し、量産化を目指しています。
株式会社カネカ： 建材一体型など、新たな市場開拓に向けた技術開発を進めています。
株式会社エネコートテクノロジーズ：IoT機器など、小型で高性能な太陽電池の開発を進めています。
株式会社アイシン： 均一な塗布を実現するスプレー工法を開発し、製造効率の向上を目指しています。
ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた動きは、すでに始まっています。
例えば、2025年開業予定のJR大阪駅「うめきた駅」の広場には、いち早くペロブスカイト太陽電池が設置される予定です。
さらに、2023年11月には、世界初の試みとして、高層ビルの壁面に1メガワットを超える大規模なペロブスカイト太陽光発電システムを導入する計画も発表されました。
このように、企業は実証実験を通して、ペロブスカイト太陽電池の実用性を確認し、普及を加速させています。
海外勢との開発競争が激化する中、日本は早期の社会実装を目指し、更なる開発支援、量産化技術の確立、需要創出に取り組んでいます。
具体的には、2030年までの社会実装に向けて、更なる開発費用の増額や、GX経済移行債を活用した国内生産体制の構築を推進しています。
ペロブスカイト太陽電池は、日本発のグリーンイノベーションとして世界をリードし、地球環境問題の解決に貢献できる可能性を秘めています。
日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは？｜経済産業省 資源エネルギー庁
未来社会「Society 5.0」の実現
次世代の太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池は、IoTやAIなどを活用した未来社会「Society 5.0」の実現にも貢献する可能性を秘めています。
Society 5.0では、様々な場所にセンサーやデバイスが設置され、そこで得られたデータが社会のあらゆる場面で活用されます。
ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽く、どこにでも設置できるという特性から、これらのセンサーやデバイスに電力を供給するのに最適です。
つまり、ペロブスカイト太陽電池は、未来社会を支えるエネルギー源として、従来の巨大発電所から地域や家庭など、電気を消費する場所に寄り添う発電へ、エネルギーシステムの変革を促す可能性も秘めていると言えるでしょう。
今回は「2024年注目 最新！次世代の太陽光電池「ペロブスカイト型太陽電池」とは？」を詳しく紹介いたしました。
ペロブスカイト太陽電池は、その高効率と低コスト製造の可能性から、次世代の再生可能エネルギー技術として非常に期待されています。
現在進行中の研究と技術開発により、将来的には、ペロブスカイト太陽電池が広く普及し、持続可能なエネルギー社会の実現が進むことでしょう。
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